千里中央駅前クリニック



過敏性腸症候群

執筆・監修:漢方内科 杉本貴美子 先生(天理よろづ相談所病院 心療内科)

制作:千里中央駅前クリニック




 過敏性腸症候群とは・・・?


 下痢や便秘など、便通異常を伴う腹痛・腹部不快感が繰り返される疾患です。
 正確な原因は不明ですが、ストレスとの関連がみられることがあるため、心理・社会的因子を考慮する必要があると
 言われています。

 最近では、脳と消化器の働きには相関関係があり、ストレスにより消化器症状が出現したり、消化器症状が気分を
 左右したりすることがあるということがわかってきました。たとえば、会会合や会食などの際に、腹痛や下痢などの
 症状がでたり、トイレが気になり外出ができなくなってしまうようなケースもあります。

 




 過敏性腸症候群の治療
 
 西洋医学的治療では、下痢や便秘など症状に応じた薬物療法と、必要に応じて抗不安薬や抗うつ剤、カウンセリングを
 併用します。しかし、時には薬のバランスを取ることが難しく、下痢止めで便秘になる、また下剤で下痢が続く、といった
 ことが起こって、かえって患者さんの不安を増幅してしまう場合もあります。

 漢方においては、心身一如の考え方に基づく根本治療を目指します。漢方の処方では、患者さんの体質に合わせて
 薬を使い分けますが、もともと「中庸」を目指すように生薬がうまく組み合わされているため、ほどほどのところで症状を
 コントロールしやすいという特徴があります。
 生薬によっては、胃腸機能の改善と同時に気分の安定を図れるものもあり、薬の種類を減 らせることもメリットの一つ
 です。

 
 以下の表に、過敏性腸症候群に対する漢方薬の代表的なものをご紹介します。






下痢型


混合型


ストレスが少ない


桂枝加芍薬湯

桂枝が身体を温めて、気を調整する。筋肉の緊張をとる芍薬を多く含むため、腸管の痙攣を軽減し運動を調整する。


桂枝加芍薬大黄湯

桂枝加芍薬湯に、下剤の働きがある大黄を加えた処方。便秘も混じる混合型に。


ストレスが多い


半夏瀉心湯

胃腸機能の調整剤も配合。脂ものを食べると下痢をする、口内炎ができやすいといった症状に。


加味逍遥散

ストレス対策の柴胡に、気の調整をする芍薬を加えて、精神不安やイライラを改善する。


香蘇散

消化器症状に対して気分の落ち込みを感じるタイプに。気を補い、巡らせる。


ストレスの量に
かかわらず、
いつでも服用可


小健中湯

胃腸虚弱を改善して、消化機能を根本から立て直し、免疫機能のバランスをとる。


大健中湯

体を温めて腸管を動かす生薬からなる。腹部膨満やガス異常がある場合に。

(週刊朝日MOOK「本格漢方」(表作成:杉本貴美子)より一部改変)




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