食後高血糖を改善するために

αグルコシダーゼ阻害剤の働きとは?

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  動脈硬化の進展は食後高血糖から


  糖尿病の早期では、空腹時(食前)の血糖値は低いのに、食後に血糖値が上昇してしまう「食後高血糖」が

  多く見られます。

  通常、健康な方では食後の血糖値は140mg/dlを超えて上昇することはなく、一般的には23時間以内に食前の

  血糖値に戻ります。 しかし、インスリン分泌不全(インスリンの分泌が少ない状態)やインスリン抵抗性

  (インスリンが効きにくい状態)の遺伝素因を有する人に、過食や運動不足など生活習慣の乱れが加わると、

  一過性に食後の血糖値が上昇することがあります。食後高血糖は、放置するとブドウ糖毒性をもたらし2型糖尿病の

  発症につながるだけでなく、動脈硬化を進展させ、狭心症や心筋梗塞、脳卒中などの重大な病気を引き起こす

  ことが、多くの研究で明かとなっています。

 
  通常、簡易な健康診断などでは空腹時の血糖や尿糖を調べて糖尿病のスクリーニングを行うことが多いですが、

  それでは食後高血糖を見逃してしまう可能性があります。

  採血時には空腹時血糖値に加えて(過去1−2ヶ月の平均血糖を表す)HbAcを測定して貰ったり、空腹時尿糖に

  代えて食後尿糖をチェックするなどして、食後高血糖を見逃さないことが大切です。


 
  

     食後高血糖が続くと・・・


     ・ 心筋梗塞や脳卒中などのリスクが上昇する。

     ・ 網膜症の発症リスクが上昇する。

     ・ 頸動脈硬化症が進行する。

     ・ 酸化ストレス、炎症、血管内皮機能不全の原因となる。

     ・ 心筋の血流量が減少する。

     ・ 高齢2型糖尿病の認知機能障害のリスクが上昇する。


    「食後高血糖の管理に関するガイドライン」国際糖尿病連合(InternationalDiabetes Federation)より


 
 

  食後高血糖改善のためには?


  食後高血糖は、生活習慣(食事・運動)の改善 と お薬により、是正することが出来ます。

  食事に関しては、砂糖を多く含む食品(菓子類、清涼飲料水など)を控えるとともに、野菜などで食物線維をしっかり

  摂って糖の吸収を緩やかにすることが大切です。また、GI値(グリセミックインデックス)の低い食品(玄米などの

  未精製穀物や豆など)を選ぶように努めましょう。

  さらに、インスリン抵抗性を改善しインスリンが効きやすい状態にするために、適度な有酸素運動を行いましょう。

  特に食後、30分程度の食休みの後に運動を行うと、余分なカロリーが消費され、食後の大幅な血糖上昇を抑える

  ことが出来ます。

  一方、食後高血糖を改善するお薬として最も広く使用されているのが「αグルコシダーゼ阻害薬」です。

  このお薬を服用することで、食後の糖質吸収がゆっくり行われるようになり、食後高血糖が顕著に改善されます。

  その結果、血管内皮細胞などに負荷される酸化ストレスが軽減され、心筋梗塞の発症などが大幅に抑制されることが

  知られています。

  以下に、αグルコシダーゼ阻害薬についての、最近の研究データをまとめました。








 αグルコシダーゼ阻害剤(αGI、製剤名:セイブル、ベイスン、グルコバイ等)は、
食後高血糖を改善して、酸化ストレスを抑制します。

食後高血糖が、酸化ストレスを増幅させます。

 食後高血糖と酸化ストレス



食後高血糖が改善されると、酸化ストレスも抑制されます。 


 αグルコシダーゼ阻害剤の作用

Satoh N,et al,:Metabolism 55,786,2006.


 αグルコシダーゼ阻害剤の作用


 αグルコシダーゼ阻害剤の作用




 日本人の肥満2型糖尿病患者15名を対象に、ボグリボース0.9mg/日を3週間投与し、投与前後で比較検討

 したところ、ボグリボース投与群で、有意に食後高血糖が改善しました。
 
 また、酸化ストレスの抑制が確認されました。




 









 αグルコシダーゼ阻害剤(αGI、製剤名:セイブル、ベイスン、グルコバイ等)に
心疾患発症予防効果が認められています。

アカルボース(αGI、グルコバイ錠)は、心血管イベントの発症を抑制します。


αグルコシダーゼ阻害剤の作用


Chiasson J-L. et al. : LAMA,290,486,2003.





αグルコシダーゼ阻害剤の作用

Chiasson JL et al:JAMA 290:486-494,2003.
Zeymer U et al,:Eur J Cardiovasc Prev Rehabil 11:412+415,2004.
αグルコシダーゼ阻害剤の作用





  IGT(耐糖能異常)と判定された患者を、アカルボース300mg/日群、もしくは、プラセボ群に分け、心血管系イベント

  (冠動脈疾患、心血管死、心不全、脳卒中、末梢血管障害)の発現について評価した。 (平均観察期間:3.3年)

  
  →  アカルボースの投与により、心血管イベント、新規高血圧の発症が有意に抑制された。




 









ボグリボース(製剤名:ベイスン)は、動脈硬化の進展を抑制します。 


αグルコシダーゼ阻害剤の作用
 




  2型糖尿病患者101例を無作為に2群に分け、1群にボグリボース0.4〜0.6mg/日を併用して3.3年間追跡し、

  頸動脈IMTの変化量を測定した。


  → 食事療法群/SU薬投与群/インスリン投与群、すべての治療群において、ボグリボースの併用により

  動脈硬化の進展が抑制された。





 アカルボース(製剤名:グルコバイ錠)は、2型糖尿病の発症を抑制します。


αグルコシダーゼ阻害剤の作用
 





  IGT(耐糖能異常)の患者1429名を対象に、アカルボース群、プラセボ群に無作為に分けて3.8年間追跡した。


  → アカルボース群では、プラセボ群に比して糖尿病の発症率が有意に低下し、 この効果は1年後の

  OGTTの時点ですでにみられ、試験期間を通じて持続した。









ボグリボース(製剤名:ベイスン)は、食後のGLP-1分泌を促進させます。  


  
αグルコシダーゼ阻害剤の作用

深瀬憲雄(山形大学)ほか:基礎と臨床,25,15,4801,1991.






  健常男性5名を対象に、ボグリボース0.2mg×3回/日またはプラセボを1週間投与後、

  ショ糖75g/300mL投与直前にボグリボース 0.2mgまたはプラセボを投与し、血漿中 GLP-1濃度を測定した。


  → ボグリボース投与群で、GLP−1濃度が有意に増加した。



 

 



ボグリボース(製剤名:ベイスン)とDPP-4阻害薬の併用は、GLP-1を増加させます。 
 

αグルコシダーゼ阻害剤の作用

深瀬憲雄(山形大学)ほか:基礎と臨床,25,15,4801,1991.





  db/dbマウスに、DPP-4阻害薬とボグリボースを単独及び併用で4週間混餌投与し、

  投与23日後にGLP-を測定した。


  → 無投薬群、DPP−4阻害薬単独群、ボグリボース単独群と比較して、DPP−4阻害薬 + 

  ボグリボース併用群で、有意にGLP−1濃度が増加した。




 

  

  GLP-1とは?


  グルカゴン様ペプチド-1 (glucagon-like peptide-1)のことで、小腸下部から分泌されるペプチドです。

  ブドウ糖の濃度に合わせて、インスリン分泌を促進させる働きがあります。

  そのほか、膵β細胞の増殖を促したり、血糖を上げるホルモンであるグルカゴンの分泌を抑制する働きが

  知られています。













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